営業におけるロープレとは
営業を積極的にしている会社の場合は営業ロープレを日常的に行っているだろう.
新商品や初めてのお客様の前でスムーズに話が出来るかというと余程場慣れしている人でないと難しいものだ.
そこで練習のためにロープレを行う.
ロープレとはロールプレイング,つまり役割を演じて,打ち合わせを稽古しておくことをいう.
ロープレはなぜ必要か?
ロープレの一番の目的はもちろん販売するためである.
販売するためには商談をスムーズに進める必要がある.
その際にうまく説明できなくて,商品,ひいては営業マン,会社が「大丈夫?」と思われては販売できなくなる可能性が出てくる.
そのために事前にお客様との対話をシミュレーションしておくことが大切なのである.
準備さえ整っていれば本番で緊張することもなく,自信を持って話を進めることが可能だろう.
事前準備する内容
誰でも分かることであるが,営業や打ち合わせをスムーズに進めるために実際にどのような会話をすればよいかを想定しておく.
ただし,準備する内容は人によって様々であろう.
販売側と購入側に分けて考える.
自社商品・サービス内容
ベテランでもロープレは必要
自社商品・自社サービス内容の理解は最低でも準備する必要がある.
特に新商品や新サービスの場合,ベテランの営業でも最初は分からないはずだ.
実際に企画や開発から説明を受けていても,お客様と話をするとうまく説明できないケースは多い.
それもロープレによって練習する.
つまりベテランであってもロープレは行う必要があるのだ.
落とし穴に気を付ける
しかし,よくあるダメな営業のパターンとして,「自社のこと,自社商品のことしか話さない」というのがある.
これは本当によくない.
日本の慣習として,はっきりダメ出しはしないのが普通なので,お客さんはかなり嫌だったとしてもはっきりと嫌とは言わない.
つまり,気づかない人は誰にも指摘されないのでそのまま歳を取ってしまうのだ.
長年,営業やっているという人でも全く人の話を聞かない人がいるのは驚く限りだが,そういう人は結構多い.
自社商品・サービスの紹介はある程度スムーズなのだが,とにかく人の話を聞こうとしない.
というか,質問をほとんどしてこない.
こういう人は自社商品を説明するための準備は万端なので
「事前準備していますか?」
と聞くと
「きっちり勉強して自社商品の説明できます.」
と言われるだろう.
自社商品のことしか話をしないで売れるなら,それでよいことになる.
お客様の理解
自社商品の説明だけで新しいお客さんに売れるということはまずない.
つまり,ここでいう事前準備というのは自社に対する知識のことではない.
「己を知る」というのは当たり前のことなのである.
まあ,それが出来ない人も多いので孫子でもあえて「自分を知れ」と言っているし,ソクラテスも「自分は知らないことを知っている」と言っている.
だから「自分を知る」ことは難しいので,しっかり自社のことを知ることは重要である.
何を考えているかを知ること
だが,それだけでは足りない.相手のことを知る(「彼を知る」)必要があるのだ.
店員で上手い営業が出来る人というのはまず「話しかけてもよさそうな人かどうかを見極めるスキル」を持っている.
ダメ元で全員に声を掛けるという方法もある.
嫌がられても心折れずにボリュームかけられればそれに越したことはないのでそのようなやり方もある.
しかし,出来れば双方無駄な時間は使いたくないはずである.
数打ちゃ当たるではちょっと虚しいではないか.
よく話をしている常連客でもなければ普通は相手のことは分からない.
例えば,家電量販店の店員の場合,ずっと有機ELのテレビ見ているな,とか液晶テレビばかり見ているなとか,パナソニック見ているなとか,東芝見ているな,ぐらいである.
それでも視線を観察すれば,価格に興味があるのか,仕様に興味があるのかなどいろいろなことが分かってくる.
それによって話しかける内容を組み立てることも可能は可能である.
事前準備が難しいという問題
しかし,重要な問題がある.
リアルな店舗の場合,ジロジロ見るのが難しいということだ.
これは日本人なら分かるだろう.お互いに気まずいのだ.
従って,リアルな店舗で事前準備は非常にしづらい.
そのため,お客様との会話の中でどういう興味があるのかを探っていくヒアリング能力が必要になってくる.
上手い営業というのはとにかくお客にしゃべらせる.
聞く力がたくましいのだ.
それによって正確にお客様のニーズをつかみ,的確な提案が出来ないと意味はないのだが,それは「己を知る」準備によって済ませておくのだ.
ロープレの重要性
その人に関する何の予備知識もない状態で人に話を聞くことは案外難しい.
そこで,それを練習するのが「ロープレ」になる.
典型的なパターンのお客様を想定する
今まで書いたように事前準備は大変重要なのだが,実際の店舗や初回の電話やいきなり会って話をする場合は難しい.
事前にお客様の趣向が分からない場合,その場でヒアリングで聞き取るしかない.
そのためにはどんなお客様でもよいように様々なお客様を想定する.
様々といっても,もちろん今まで会ったお客様の中でよくあるパターンというのがあるはずだ.
基本的には典型的なお客様を想定して練習すればよい.
希少なお客様を想定して練習しても時間の無駄である.
仮想のお客様を設定
リアルな店舗の場合はよく来る客層を想定して,そういうお客様に対してどういう会話をするかというのを練習しておく.
練習してみると改めて以下のようなことが分かる.
- こういうお客様にはどういう話をすればよいのだろう?
- この機能はこういうお客様のためにあるのか.
- こういうお客様のためには少し機能が足りないのではないか?
商品企画がまともであればあるほど,様々な場合に対応する方法が用意されている.
もちろん,一つの商品ですべてのお客様に対応できるわけもなく,そういうお客様には向いていないので別の商品を薦めるべきであり,営業はそれも含めて理解する必要がある.
シナリオパターンを作成
家電量販店などであれば,ある程度事前シミュレーションによって,
- こういうお客様にはメーカーA
- ○○にこだわるお客様にはメーカーB
- ○○は絶対にダメというお客様にはメーカーAとメーカーC以外
のように準備出来るのである.
習熟してくればロープレなどせずとも自分でシナリオを何通りも準備しておいて話が出来るようになる.
ロープレのやり方
このページの最初の写真のように最初は二人で対面に座り,実際の営業と同様な形を作る.
当たり前の大事なことだがロープレには営業の立場の人間とお客様の立場の人間の最低二人が必要になる.
営業の立場
そもそもなぜこうやって話すことになったのかという設定から考えておく.
- お客様が引き合いを送ったのか
- 誰かの紹介なのか
- 新製品の紹介ということで既存客に会っているのか
営業は挨拶から始めよう.
「よろしくお願いします.」
「今日はお忙しい中,お時間とっていただきありがとうございます.」
などより実践的な会話もいいだろう.とにかく雰囲気は重要である.
設定に応じて,先にお客様の話を聞くのか,新製品の紹介をするのか,分岐していく.
そこから先はお客様との会話のキャッチボールとなる.
お客様の立場
そして,お客様の立場は営業の立場になるより難しい.
お客様になっている自分を想像で作って演じる必要があるからだ.普段からいろんな人の考え方や生活に触れていないとなかなか別人になりきるというのは難しい.
昨今,お笑い芸人が俳優になっているケースをよく見かけるがお笑い芸人というのは他人に成りすます必要があり普段から練習,実演しているので,同じことを俳優になってやっているだけなのである.
そういう理由もあり,通常,上司や営業経験豊富なものがお客様を演じる.
正直,お客様を演じるのがうまい人は営業もうまいはずである.
なぜなら相手の立場になって,気持ちを推し量ることが出来るからである.
つまり,どちらをやっても練習(稽古)になるのだ.
そして,それを見るだけでも見とり稽古になる.ただし見ているだけではダメで営業や客になって実践したほうがよい.
ロープレ後の反省
まずかったところをお互いに指摘し,修正していく.
ある程度,大丈夫となったところで実際の営業をする許可を出すわけだ.
ロープレは実践あるのみ
ロープレは営業,お客様,聴衆の三者がすべて勉強になるという非常に優れた営業の練習方法といえる.
だから営業がいるのにロープレをやっていない会社というのは非常にもったいないことをしているので,是非ロープレをやってみるとよい.
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