兵は拙速なるを聞くも,未だ巧久なるを睹ざるなり

最終更新日: 公開日: 2022年10月

しっかり検討したら素早く実行することの重要性について.

マーケティングに活かす孫子の兵法

孫子の作戦篇には以下の文言がある.

兵は拙速なるを聞くも,未だ巧久なるをざるなり

戦争を長く行って経済が窮乏するといくら智謀の人がいたとしても盛り返すのは難しい.
戦争にはまずいけど素早く行う(拙速)というのはあっても,うまくて長引く(功久)という例はまだない.

ということだ.(※参考 「孫子 岩波文庫」)

これはなんにでもいえることだ.

「四の五の言わずにやってみろ」という言葉を聞くが,それともちょっと違う.

行動の根拠は必要で,闇雲に何でもやってみようということではない.
孫子も「スピードさえ速ければ何でもよい」なんてことは言っていない.

※「拙速は巧遅に勝る」「巧遅は拙速に如かず」という格言?のようなものが広まっているせいで誤解されているのだろう.(誰が言ったのでしょうね?)

考えて準備出来るものに関しては全部準備して,不確定要素に関しては考えても仕方がない.

やると決めたら素早く実行に移せということである.

そして,重要なことは「ダメならすぐ引き返せ」ということである.
戦争は長く続いて良かった試しはない」と孫子も言っているではないか.

「引き返せ」というのは当初の想定外の事態に陥ったら引き返せという意味.
想定内の事態なら対策も検討済みなので粛々と対応策を実施したらよいだけのこと.

目標設定は細切れに

速さを重視するなら,目標は細切れにしてステージに分割すると良い.
達成したい目標があった時は,そこに到達するまでのストーリーに関してよくよく考える.
そして,到達すべきステージに分けて,一つ一つそのステージを上がっていくようにするとよい.

そうすれば次のステージまでに行うことが明確になり,達成までのスピードも上がる.

目標達成までの手段や方法はしっかり検討

目標が決まったら,そこに達する前に何を準備して,何をしなければならないかを明確にする.
その際に障害になりそうなことはあらかじめ考えておく必要がある.

何かをした時に波及して予想されることがある場合,複数のことを考えておく.
全てに対してどう対応するかをあらかじめ考えた上で行動に移す.

行動に移した後,想定される結果になれば,あらためて次の目標に向かって計画を立てる.

想定外の結果になった場合,なぜ想定外になったのかまで考慮して,次の目標に向かう時に想定外の事態を引き起こさないように計画を立てる.
現代では PDCA ともいったりする.

孫子のことを書いた本は多数あるが,「湖底の城(宮城谷昌光)」という本は鮮やかな孫子の兵法の一旦を垣間見ることができる非常に面白い本である.興味があれば読んでみると良い.
まさに神出鬼没の孫子の兵法の醍醐味が分かることだろう.文庫本だと全9巻だが第5巻がまさにそれである.

孫子のいた「呉」の相手になる「楚」や「越」がまさに翻弄される姿が描かれている.

石橋は叩きまくって割るな

「石橋を叩いて渡る」ということは非常に大事なことではある.
しかし,一度しっかり叩けば十分だ.
周りの目を気にしたり,失敗を恐れたり,変なプライドに縛られたりして,結局動かないということは多いと思うが,そこをあえて一歩踏み出す勇気というのは重要で,多数あるその場面で踏み出せる人かどうかで相当人生は変わってくるはずだ.
リスクは十分に考察した上で一度決めたら素早く実行することが大事であり,事業でもさっと軽やかに始めて,ダメならすぐ撤退するべきだ.
事業だけでなく,営業でも同じことが言えて,よく売る営業というのはみんな素早い動きをするものだ.

動かないと変わらない

とにかく動いてみないと状況は変わらないということを肝に銘じておいてほしい.

よくよく検討して,「動いた結果,良い方向にも悪い方向にもどうなるかを検討し対策まで考えたら」すぐに行動に移してみることが肝要である.
なぜなら相手も同様に考えている可能性があり,そうなると対策が後手に回ったほうは不利になる.

つまり,少しでも早い方が勝つことになる.

 

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